オズの魔法使い

おとうさんはこれまで、「オズの魔法使い」というと、映画のサントラに出てくるオーバーザレインボー、の曲のことしか知らなかった。いままで一度も本を読むことは無かったし、これからも読むことなど、想像もしていない。

似たような状況の本がもう一つある。「星の王子さま」これも一度も読んだことがない。それでも、家族で先日行ってきたプラネタリウムの番組に「星の王子さま」があったので、それを見て、おおよそ中身を知ることとなった。それでも、星の王子さまを読んではいない。

「たいらじょう」という人が、ひとりで何体もの人形を動かして、ひとりで2時間以上の舞台をするとのこと。その題目が「オズの魔法使い」だ。1ヶ月くらい前にそれを聞いたとき、脳髄の奥のほうで、ビビッと来たのは確かだ。そして、当日の朝、「とうとう当日になった」と感慨がやってきたのだった。

そして、おとうさんは、予想通り感激した。「たいらじょう」の空間を埋めていくそのトークとなめらかな人形の動きに驚き、そして、最後の最後の場面で、いきなり「オズの魔法使い」が、おとうさんの後頭部を直撃した。これぞ、いま私が読むべき本だ!

その時、人形劇にも感激をしていたが、「ああ、この舞台は、オズの魔法使い、に彼自身が感じたことをぶつけて表現しているんだな」ということを理解した。つまり、私はまだ、本を読んでいないので、ほんとうに共感できていない、違和感がそこにあった。

それでも、やっぱり感激した。感動した。涙が出た。帰りに、CDを買った。娘も「黄色いレンガの道」の歌が好きだという。感動した、と言っていた。おかあさんも。そして、私は感じた。私は、感動したことを誰かにその場で伝えるのが、ほんとうに下手だなぁということ。娘も同じだった。その直後には、押し黙ってしまう。たいらさんに握手をしてもらった。平然としていた。おとうさんも娘も。でもなぁ、仕方ないなぁ。変えようがないなぁ。。。

帰り道、地元で一番大きな書店に行って、本を買ってきた。福音館書店渡辺茂男訳、「オズの魔法使い」。初版の時の挿絵が忠実に載せられているというので、2500円。同じ訳の文庫は600円だが、おかあさんが言うには、「いずれ娘にも読ませるので、挿絵が本物の、2500円のがいい」のだそうだ。

さて、昨日から読み始めた。今回は、どんなにゆっくりでも、最後まで読む。そして何度でも読む。人形劇を見た時の感覚が、本当に正しいのか、自分の中で確かめるために。

(新聞記事載せていいかな)

小さい頃、おかあさんと遊んだというのを読んで、チャップリン自伝に書いてあったことを思い出した.チャップリンも、イギリスの屋根裏部屋で、役者であったおかあさんに、寝る前に楽しい創作話をたくさん聞かせてもらっていたとのこと。

本を読んでかみしめたら、また彼の人形劇を観に行ってみよう。