あらゆる悪運をすり抜けて

昨日のブリッジ定例会は、8ペア中、2位!失敗と成功をうまくすり抜けて、良いポジションにたどり着いてとても楽しいひと時だった。

地元のブリッジクラブでは参加ペアが少ないので、いつもアイエムピーという得点形式で遊んでいる。基本的な戦略は「できるコントラクトをビッドすること。決まったコントラクトはオーバートリックは必要なく、作ればOK。相手のコントラクトはとにかく落とせばOK」なので、価値観がわかりやすくて助かっている。

こちらがとんでもないコントラクトに達してダウンしても、相手も同じようなコントラクトでダウンしてくれたり、スラムがレイダウン(確実にメークする)なハンドでゲームしかビッドできなくても、他のテーブルでも同じようにスラムをビッドしていなかったりで、「ミスはお互い様」という中で、ちょっと運が良くて成績に結びついた。

ペア数が多い場合はマッチポイントという順位点の方式が取られ、その場合は1トリックの多寡で順位が大きく変わるため、作ればいい、ダウンさせればいい、という単純な戦略ではなくなる。マッチポイントは別のゲームと言われる所以だ。

運が良いのも実力のうち、と素直に喜ぼう。悪い成績が続くよりも、たまに良い成績が取れればブリッジ遊びも長続きするというものだ。

私も親バカではあるが、ここで親バカの権化、Ziaの記事を紹介しようと思う。記事内のディフェンスは、おとうさんが理解不能でついて行けてないのがおとうさんの悩みw。『でも、常に例外はあるって僕に教えてくれたのは、パパじゃないか』という下りが大好き!私も常にこう言い続けたいな。

第一回欧州オープン選手権(2003年)の特別企画、Ziaの記事

Zia Mahmoodというパキスタン出身の世界的プレーヤーがいる。賭けブリッジで世界を渡り歩き、その研ぎ澄まされた勝負勘でついさきごろまでアメリカ代表で活躍していた人だ。その人が書いた記事を紹介しようと思う。JCBLブリテンからの無断転載となるが、問題があれば指摘いただくと削除するつもり。

我が息子、天才よ ジア・マームード

(2010現在、アメリカのNo1チームメンバ。カリスマ的人気でファンが多い。ここでは機知に富んだジアが、彼の垣間見た未来について語っています。
【この記事は、2003.3-4のJCBLブリテンに掲載された記事で、2003年6月に行われた第一回欧州オープン選手権開催記念の企画の一環として、世界的なプレイヤーやライターが若き日に大会に参加した時の思い出などを語っており、その中の一部を紹介したもの】)

もし、皆さんが、私がここ暫く、どのトーナメントにも勝つのを見ていないと思っているなら、どうか驚かないでいただきたい。その理由は、もうろくしたからではなくて(確かに、それもあるかもしれないけれど)、1歳になる息子、ザインと遊ぶのに忙しいからなのです。つまり、折りに触れ、本当はシステム・ノートを読んでいるべきときに、私は嬉々として、公園でサッカーに興じているのです。

当然、重大な問題が浮上しています。「私は、息子にブリッジを習うよう、奨励すべきだろうか?』私の本能的な反応は、ノーです。息子には、自分が送ってきたような人生を送らせたくないのです。たとえ大きな情熱を伴うものであっても、1スート・スクイーズを追い求めるような生活は。

それに、もし先日私が見たのが正夢だったら、どうしましょう?その夢では、息子(10歳くらいに成長している)がブリッジ・レッスンから帰宅して、憤慨していました。「先生が僕に言ったんだ。僕はぜんぜん下手っぴだって。』と、彼は訴えます。

「何があったんだ?」、と私。「相手の4スペーズに対して、僕は♥ KQ107を持っていてパートナーが♥9をリードしたんだ。僕はQを出して、ディクレアラがAで勝った。その後で僕の手に入ったとき、僕は♥10を出して、ディクレアラのシングルトンになっていたJが勝ったんだ。」

「そりゃあ、お前が間違っているように思えるね。スート・コントラクトでウィナーをキャッシュするときの規則は知っているだろう。」

「もちろんさ。でも、常に例外はあるって僕に教えてくれたのは、パパじゃないか。Eの僕のハンドはこうだったんだ。」

「ビッドは込み入ったものじゃなかった:

パートナーは♥9をリードして、こんなダミーが出てきたんだ:

僕はQを出して、ディクレアラがAで勝った。Sは♣3をリードして、パートナーからは♣2が出てきて、僕はAを取った。僕は♥Kを出しかけたけど、ここで、待てよと考えたんだ。ハンド全体は、こんな感じじゃないかなって思ったんだ(ディクレアラは♠が7枚と、♣は1枚の可能性が高い)。

もし僕が♥K、アナザー♥と出したら、ディクレアラはラフして、ダミーの8に向けてロウ♠を出すだろう。そうすると、僕はエンドプレイされちゃう。だから、唯一のチャンスは,♥のトリックを犠牲にすることのように思えたんだ。

でも、♥7でイグジットするのも良くない。ディクレアラは勝って、ダミーの8に向けてロウ♠を出して、僕のQに負ける。僕が♥10を出したら、ディクレアラは♦を捨てる。すると、僕は依然として、ダミーにエントリーをあげることになってしまう。だめだめ、コントラクトを落とせる唯一のカードは♥10さ。これなら、僕は後で♥7を出すことができて、ディクレアラはディスカードする余裕がなくなる。僕のパートナーがそのトリックを勝っちゃうかもしれないからね。」

先生が怒ったのは、このときだったのです。でも、私には、息子の言い分が正しいことがわかりました。なんというディフェンスでしょう!素晴らしい!エキスパートが4つのハンド全部を見ることができても、この状況はなかなか見抜けません。私は、興奮して、ゾクゾクしてきました。ただし、その続きを見るまでは、の話です。カンターとバリー・リーガルが、ハンドを求めて、息子を追いかけ回します。ボブ・ハーマンは、ブルーリボンをやろうと、しつこく息子につきまといます。中でも最悪だったのは、息子がインターネットのチャット・ルームで、ケビン・ローゼンバーグ(マイケルとデビーの息子)とダブル・ダミー問題について、延々と何時間も議論している姿でした。

この段階に至り、このようなことは決して起きてはならないことは、私にはもうちゃんとわかっていました。そして、これが現実に起こるのを阻止するために、私は、次の3ステップを踏まねばなりませんでした。

  1. オットリック/ケルゼー著 "Adventures in Card Play" を隠せるよう、高い棚を洗面所に作り付ける。
  2. コーチ中のコーチ、エリック・コキッシュ【アメリカ代表のコーチ】の名前が、決して息子の耳に入らないようにする。
  3. 目を覚ます。

(上記のハンドは、ゲザ・オットリックとヒュー・ケルゼイの素晴らしい著書、"Adventures in Card Play" から借用したものです。このハンドがあまりに見事だったので、ぜひとも世界中の皆さんとこの感動を共有したいと思った次第です。)