ディフェンスでのシグナル
初めて組むパートナーだったけれど、最初の数ボード遊んでもらって、感覚が合っているなと感じるディフェンスがあった。私自身はいつまでたってもディフェンスがうまくならないことを実感しているが、そんな中でも、ふとしたカーディングで気づくことがある。
このボード、EWはバルなので、4♠は行き過ぎなのかもしれないが、他の結果はやはりEWの4♥とか、サウスの5♣とか、いずれもダウンしている。
パートナー(サウス)のリードで♥A。これに対してノースの私はエンカレッジ(励まし:続けて欲しい)のシグナルとして♥10を出した。
♥Aのリードというのは、1枚、2枚、3枚、どこからのリードだろうか?私はもし♥が続けられたならば♥Kで勝って、♦5をラフするためにリードしようかと考えた。そのディフェンスが功を奏するには、Pd(パートナー)が♦Aを持っていないといけないだろう。
そして第二トリックでPdがリードしたのが♦Aだった。それはうれしい!ダイヤモンドがラフできるし、♥Aのあとに♥が続かなかったのは、持っていないからだろうと推測できた。私の♥10のエンカレッジシグナルを理解している場合は、♥に危険を感じたか、Aしか持っていないかのどっちかだ。
♦Aに私は平凡な♦5をフォロー、というのもそれしか無いから仕方ない。しかしPdが続けたのは「♦10」だった。
Pdのダイヤモンドは5枚とわかる。そしてその中でも♦10は、大きなカードの部類に入る。見えてないアナーは♦Jだけだからだ。小さなカードで私にラフをさせることもできるのに、あえて♦10という無駄に大きなカードを出している。ははぁ、これはスートプレファレンス(どちらのスートを好むかを示す)だな、と理解できた。
つまりトランプと♦以外の2つスート、♥と♣で、どちらを返してもらいたいかを、ハイ(大きいカード、高いスートを希望)、ロー(小さいカード、低いスートを希望もしくは意図なし)で示す方法だ。
今の状況で言えば明らかに♥を返してほしいと言っている。つまり♥Aはシングルトンで、ラフ出来ますよ、と言っているのだ。♥Aのあとに♥が続かないことから、私も♥Aはシングルトンだろうと推測しているわけだけど、その情報に加えて冗長な情報を発信しているのだ。
この最初の3トリックで、ああ、きっちりディフェンスシグナル出してるな、と感じたので、こちらもきちんとシグナルを出そう、と気が引き締まった。
続く3NTのディフェンス
次はこちらのボードのディフェンスで、ノースに私。良い♠を持っている。1♠とオーバーコールすると、Eが2♦とのこと。ハンドを見ると2♦には通常は10点必要なので、5点しかないこのハンドではオーバービッドだ。
Wの2♠(♠のストッパーがあるかどうかを尋ねるキュービッド:ウェスタンキュービッド)を経由して、オポーネントは3NTにたどりつく。
Pdのオープニングリードは♠J、ディクレアラは最初のトリックをダックしたので、Kの3枚か4枚だろう。Pdから♠が続いたのでディクレアラは3枚だ。ここでAを取らずにダックもできるが、あえて♠Aで取って、先ほどのスートプレファレンスのシグナルを出すことにした。
すなわち、♠Aで取って、♠Qでディクレアラの♠Kに負ける。
私にはたくさんスペードがあり、ディクレアラの♠Kは最後の♠であるから、何を出して負けても同じことだ。だからこそ、自分が次に欲しいスートをハイ・ローで示す。
この場合♥Aのエントリがあるので、高いカードを出すことで♥Aを示すことができる。先ほどのお礼ということでスートプレファレンスで返した。
案の定、Pdにリードが入って♥が返って来て大量ダウン。
会話はあまり無かったけれど、カーディングで通じ合うものがあって、とても楽しいブリッジだった。