百代の過客

月日は百代の過客にして・・・松尾芭蕉
ゆくかわのながれはたえずして・・・鴨長明
When you hear music, after it's over, it's gone in the air. You can never capture it again. エリック・ドルフィー

松尾芭蕉や鴨長命をじっくりと読んだことはない。ドルフィーも詳しいわけではないが、時間が流れていくさまをイメージさせる言葉が好きで、そこだけ頭に残っている。子供の時間は速い。

今日もトランプすることがなさそうなので、以前の話をしよう。

会話ができるようになったのがいつ頃だったか、良く覚えていない。まあ、子供と毎日面していては、毎日日記でも付けていない限り、覚えているのは無理というものだ。それでも、トランプに関して覚えていることが1つある。

片言で会話ができるようになったときに、確かトランプを持ち出して、いろいろと触ってみたと思う。そんなとき、車に乗っていて、娘が道路のガードレールを指差して、しきりに何かを訴えていた。何を言っているのかわからなかったがちょうど信号待ちになったので、指差す方向を見てみると、それは単なるガードレールである。パイプが繋がれたような白いガードレール。外枠の中はパイプが通してあって、菱形になっている。

娘の言うことを良く聞いてみると「ダイヤ、ダイヤ」と言っている。がはは。そうか。ダイヤか、確かにダイヤだ。そして、世の中にはダイヤやハートがたくさんある。トランプのスーツは、言葉を覚えるための、形を認識する上での、そしてコミュニケーションを行なうための、重要な道具になってくれたようである。

三つ子の魂百まで、と言われるが、もしこれが本当ならば、3才頃にはずいぶんとトランプであそんだので、娘は一生の宝にできるかもしれない。ちなみに、一昨年の6月、3才と10ヶ月の時の記録は、
「N並べ、神経衰弱、ババ抜き、おっきいちっちゃい、家族合わせ」ができるようになった。と書いている。

N並べ、は、枚数を少なくした7並べ。スーツも2種類とかで工夫。初期の段階で、数字を意識させるにはとっても良いゲームだったと思う。神経衰弱は、12枚でやり始めた。一番最初のトランプ遊びで、いつまでも子供が強い。ババ抜き。これも札の数は少なくしたが、とにかく3人でワイワイさわぎながらできるので、良かった。おっきいちっちゃい、は、私が命名したトリックテーキングゲーム。フォローできれば大きな数が勝てる。無ければディスカードだ。どっちが大きいかを言わせた。家族合わせは、「ハートの8を下さい」「ありません」みたいなゲームでこれも楽しかった。

昨晩の「情熱大陸」は先の将棋、竜王戦のドキュメンタリだった。その中で渡辺さんが3才になる自分の子供と将棋をさしていて「詳しく教えることはない。上手になるプレイヤーは自分で考えるから」と言っていた。心に刻もう。私は私で、なすべきことはたくさんあるから。