Tiny Bridge

おかあさんが言い出したので、昨日から3人でブリッジを遊んでみている。3人だと、ホイストでも、その他のトリックテーキングゲームでも、娘をまじえて遊ぶには難しかったり、中途半端だったりの繰り返しで、なかなかホイスト系のトリックテーキングゲームに取りかかることができなかった。どうにもしようがないので、来年小学生になったらいきなりミニブリッジとかを教えて、大人に付き合ってもらうとするか、という投げやりな気分になっていた。

それでも、おかあさんが言い出したので、最近少し考えていたブリッジの仕方を工夫して遊んでみることにした。すると、少なくとも2日続いているから、これはもう少し楽しく工夫することで、長く遊べるゲームになりそうと感じている。

ミニ・ブリッジというのは、コントラクト・ブリッジを普及させるためにオランダで開発されたゲーム方法らしく、A=4点、K=3点、Q=2点、J=1点のミルトン・ワークのポイントカウント法で自分のアナーの点数を計算し、一番多い人がいわゆるディクレアラになって、ダミーを開いてコントラクトを決めてプレイするという、ビッドを省略したコントラクト・ブリッジみたいなゲームだ。

最近考えたことがある。今、ブリッジの先生が主催する小学生向けのトランプ教室のアシスタントをしているのだけれど、ブリッジの先生の希望としては、トランプの楽しさを知ったなら、続けてブリッジの方面に子供たちが進んでいけたらなぁ、ということと、トランプを通して大人と子供が交流を持てたらいいなぁ、ということ。良くこの話は聞くことが多い。実際、トランプ教室を見ていると、ブリッジで遊ぶ大人とのトランプ交流ってのは、そんなに簡単な話ではないよなと思う。

まず、教室の特性から言って、難しい頭を使うようなゲームは、どうしても避けられてしまうということ。月に1度、たかだか1時間の中で、大人がどれほど面白いと力説したとしても、ゲームを憶えること、コツをつかむことに時間がかかるゲームは、どうしたって続かない。ホイストを紹介したとしても、すぐに飽きられてしまいそうだ。さらに、大人側からみても、いくら週に何度もブリッジをしてトランプに触っているからといって、小学生と神経衰弱やいっきゅうさんを遊べと言われても、記憶力や反射神経では子供たちにかなわないのだから、楽しい交流時間を過ごせるか?というのも疑問がある。

だから、やっぱり、大人と子供が交流するのは、ブリッジで交流すればいいのだ、と私は考えた。そういう目で、私も娘とブリッジ(もどき)を楽しみたいと、考えた。

タイニー(ちっぽけな)・ブリッジ。今私が考えた名前である。ミニ・ブリッジを改良し、3人で十分遊べるゲームにしようと工夫中だ。基本はミニ・ブリッジみたいに、ポイントカウントを数えるのだけれど、根本的に異なることは、1人でディフェンダに対抗してダミーを見ながらプレイを進める、いわゆるディクレアラは、通常のディーラーのように右回りで回って行くだけにする。つまり、ディクレアラになるために、なんら競り合いをしないということ。

ディーラーが、今回のディクレアラ、でいいだろう。そして普通通りカードを4名分配る。自分の向かい側はダミーだ。

そして、良いカードが配られることもあれば、悪いカードのこともあるだろう。通常、このカードの善し悪しと、取れるトリック目標のバランスを取るために、ポイントカウントが多い人、とか、競り合いをして、ディクレアラ(宣言者)を決めるわけだが、ダミーと合わせてどんなに悪い手が配られようとも、ディクレアラは決めうちで変わらない。取るべきトリックを、ポイントカウントの合計と合わせて、スケールに決めてしまうのだ。

今使ってみているスケールは、ポイントカウントの合計(ダミーと自分)が17〜19点ならば、ブック(6トリック)+1トリック、すなわちブリッジで言う、1の代のコントラクトが、責任として割り振られる。この3点幅で、スケールを上下させて、合計点数により責任トリック数を機械的に決めてしまうのだ。そうすれば、点が少ない時には、ディクレアラは例えば3トリック、とかしか取らなくて良いことになる。

ただし、ダミーを見ながら、トランプと責任トリック数を決められるので、ブリッジに慣れている人は、ポイントカウントに関わらず取れるトリックがおおよそわかるので、その場合には責任トリックを下回らなければ、どれだけ多くのトリックを取ると宣言しても良いことにする。

こうすると、例えば時間がないときは、ディクレアラを1回づつね、と3ディールだけでやめることができるし、ディクレアラおよびディフェンダは、本格的なカードプレイを実践することができる。ディクレアラの責任トリックから、ディフェンダ側が取らないといけないトリック数も、自分で計算させる。

そして、大切だと思うのは、この後、スコアをどのように付けるか、ということよりも、とにかくダラダラとこのゲームを続けてみる、ということだと思う。ダミーと合わせて7枚あれば、4枚目がエスタブリッシュできるかも、とか、短い方のトランプでラフすればトリックが増えるとか、そういうことを口で教えたり講義したりするまえに、とにかく、ダラダラと遊んで、自分で感覚をつかませること。それが大切と思う。というのも、今までホイストとかは実践済みだし、今回のこの「タイニー・ブリッジ」も、ずいぶんと楽しんで遊んでいるので、かえって何も教えない方がいいなと思うから。

「最初は負けた方がいいんだよね」とか「Aを出すともったいないからQを出そう」とか、言いながら遊んでいる。それ自身は以前、教えたことで間違ってはいないからそのままにしている。そのうち、自分でどういうことかわかってくると思うし、ぜひ、それが自分でわかるくらい、おとうさんとおかあさんで、このタイニー・ブリッジで遊んであげようと思う。

慣れてきたらスコア方法も決めなくちゃならないだろうし、そのうち考えることにしよう。娘の視点で、今私が教えられることを、自分自身で考えないといけないな、と思っているが、実際のところ、私よりも感覚が良いかもしれないし、そういう場合は、おとうさんが足かせにならないようにしないと、とも思う。たぶん、今日も楽しく、タイニー・ブリッジができると思う。