2ヶ月ぶりのトーナメント
昨日は、地元のブリッジクラブで月例会があったので、なんとか時間を工面して娘と一緒にトーナメントに出席してきた。私も久々のブリッジでわくわく楽しんだけれど、頭と体力が慣れずにへとへとになった。
前日、おかあさんと娘と私とで、BBOで10ボードの練習を行った。何もしないで出場するよりは少しでもブリッジに触れていった方がいいというおかあさんの提案だった。のちのち、このことが娘の自信となっようで、「昨日も練習したもんね」とゲーム中に相槌を求めていた。ほんのちょっとのことなんだけど、練習を挟むというような気遣いは、ほんとうに必要なことだねと実感した。
前回のトーナメントからすでに2ヶ月が過ぎている。それでも、たった10ボードの練習でビッドもプレイもディフェンスも勘を取り戻せるのだからすごいなと思う。特に小学校5年になって、勉強も他の活動も複雑で難しいことをこなさなくてはならず、それに従って脳の発達も早まっているんだろうな、と実感する。
今回は、会場に入る直前に、ジャコビートランスファーの説明をして「使ってみよう」ということにした。これが、実際のゲームで私達のサイドに2度、ジャコビートランスファーを使う場面がやってきて、効果てきめんだった。ステイマンを使える娘はジャコビーを実際に使うまでもなく、理解するのもあっと言う間だった。
6♠への道
前回の参加は2ヶ月も前になるが、その時から娘は「強い手の時のビッドはどうするの?」とおとうさんに質問していた。とりあえず20点以上のバランスハンドなら2NTを言うし、18-19なら1の代のスートから2NTにジャンプ、とバランスハンドまわりのことは覚えたようだった。もし強いハンド同士が向かい合ったならば、スラムがあるかもしれない、という話を昨日の行きのバスの中で話した。
つまり、4♠で止まらずに、5♠とビッドしたときは、その人の点数に余裕があってパートナーに「スラムはどうでしょう?」と誘いかけていることにしよう!このように誘われたならば、もう一度自分のハンドをよく見て「トランプの強さはどうか?トランプ以外のAKはあるか?」を考えて、誘いに乗るかどうかを判断しなさい。ということにしていた。
さっそく、こんな手が来た。Sが娘で、Nが私。娘が15点のバランスハンドで1NTでオープン。
私は♠が5枚あるのでジャコビートランスファーを行う、2♥。娘は言われたとおり2♠と答える。
点数で言えばおとうさんの手は11点+長さ点2点。娘が最大の17点だったとしても、17+11+2=30点で、スモールスラムの33点には届かない。しかし、私は考えた。黒いスートがこれだけ長く、ハートがボイドなのだから、もし♠がフィットしている時はスモールスラムにチャレンジしてみよう。
そこで、娘の2♠のあとに3NTとゲームビッドをすると、娘からは4♠と、スペードフィットを示す答えが返ってきた。やった。ならばスモールスラム!ということで5♠をビッドすると、娘は少し考えてからパス。
プレイは6メークした。娘のパスは「1NTのうちで、15点と一番低い点数だったのが心配でパスした」とのこと。
ひとことで評価基準を説明できるとは思わないが、このようなスラム狙いの場合には、AとKがどれだけ揃っているか、ということで判断するのがいいんだよ、と言った。
おとうさんとしては、やみくもにスラムビッドをするのではなく、パートナーに相談できるときは常に相談するという形でお互いのビッドの情報交換能力を深めていきたいと思っている。このボードは他に4テーブルプレイしたが、6♠をビッドしたところは無かったので、結果はプッシュ。
5−4のメジャーは?
次に、おとうさんが5−4のメジャーのハンドを持った。ステイマンを使うべきか?ジャコビートランスファーなのか?娘と取り決めをしていなかった。NがわたしSが娘で、娘は17点で1NTオープンする。
直感的に私は2♥とスペードへのトランスファーをした。普通ならステイマンを使ってから5枚スペードを示すような流れのほうがいいのかもしれない。しかし今日は娘に5枚のトランスファーを教えたばっかりなので、まずはそちらから使ってみる。2♥ー2♠と答える。ここで私は、3♥とビッドしてみた。さて、私のハンドが♠5枚、♥4枚と伝わるだろうか?
取り決めのないこのビッドに娘は長考する。そしておもむろに4♥を置いた。どうやら正確に伝わったようで、私は4−4の4♥をプレイできそうだ。
結果は、クラブと♦をクロスラフして5メーク。他のテーブルもほぼ同じ結果。
ブロック/アンブロック
ブリッジは常に、ブロックとアンブロックの闘いなのではないかと思っている。娘はディクレアラの時、まだブロックを解消できないことがある。そして今回は、ディフェンスのアンブロックを経験した、というか、この難しい状況を少しでも理解できたかな?
Sの3NTになって、Wの娘が♣のフォースベストをリードする。娘はこの長い♣でダウンさせたいと思っているに違いない。私の♣がボイドなので、そう思っているだろうなということがひしひしと感じられた。
ディクレアラの側でトリックをカウントすると、♠1、♥2、♦3or4、♣2で、♦で4つ取れれば9トリック確保できる。ディクレアラは♣10でトリックを取った後、♦をAKQと取った。しかし私に1枚Jが残ったのを見て、♥にスイッチ。これを娘はAで取って、ダミーの♣A1枚に向けて♣をリードした。
ダミーが♣Aで勝ってダミーの♥を2枚取ると、以下のような配置になった。
ディクレアラは♠Aを含めて8トリック確保しているので、♣でもうひとつ取れるとメークする。しかしEの私にトリックを取られると、♠2♦ディフェンダ側に5トリック取られてダウンしそうだ。
残り5トリックの時、今はダミーに入っていてディクレアラは7トリックをすでに取っている。
ダミーから♠Aを取り、♠スモールをリードすると、娘が♠Kで勝つ。しかし万事休す。娘は♣Kを1つ取ってあとはディクレアラの♣に放り込まされて1トリック献上した。
ジャストメーク。
終わった時に、娘がなんとも不満気な顔をしていた。「クラブをディクレアラからリードしてくれれば良かったのに」。そう、うまく♠Kに放り込まれて♣をリードさせられた。娘はその状態になることを理解していたようだった。「♠Kで勝ったら、あとは自分から♣をリードしなくちゃいけなくて、ダウンできないことはわかってたんだよね?」「うん、、、」
「そういう時は、ダミーの♠Aに♠Kを落としてしまうと、いいことがあるかもしれないんだ。」「ふぅーん」
実際には娘の♠が2枚だったので♠Kを落としたとしても、ダミーの♠に1トリックを献上することになっていたようだ。それでも、「勝つために、♠Aの下に♠Kを落とす」という考え方を垣間見せることができて、良かったんじゃないかな?って思っている。
6♣
最後は、できた6♣。
Wの娘のビッドは2♥。20点以上あるアンバランスなハンドは、1の代でオープンする代わりに2の代でオープンしよう。ということにしてある。そしてこのとき、パートナーが0点であってもゲームまでは行くことにした。ゲームフォーシングである。
ゲーム前ではまずトランプを決めないといけない。トランプがフィットして、どちらか弱いハンドだったときは、すぐにゲームビッドをすることで弱いハンドを示すことにしよう、とした。
2♥に対して私は10点のマイナー5-5のハンド、スラムを確信した。そこで3♣と言うと、4♣とレイズしてきた。トランプは♣で決まり。
次に私は4♦とビッドした。これは今朝のバスの中で話した、「余裕があってスラムを狙おうとするときは、4の代でトランプではないスートをビッドするんだ。Aがあるスートをしたから順にビッドしていくんだ。そうすることで、パートナー同士で、気分を盛り上げていくんだ」という話をした。娘はこの後、4♠とビッドするつもりだったらしい。
するといきなりサウスが4♠と介入してきた。娘が言いたかった4♠を先に言われてしまって、仕方なく5♣とビッドする。
私はあてずっぽうではあるが、娘の♠がシングルトンであったり、サウスは♠Aしかアナーを持っていない、ことを期待して6♣をビッドした。
6♣はメークして、良かった良かった。
というわけで、娘のディクレアラプレイが、格段に進歩していることを感じたトーナメントであった。