ゲームフォーシングとウェスタン・キュービッド
普段のネットブリッジだと、課題が出たそのつどプレイを止めて説明を行っている。おかあさんは話半分で聞いていて、もう眠いなぁという雰囲気だ。それでも、娘には何度も話しているうちに、だんだん記憶に蓄積してくるようだ。
今回のビッドは、そう簡単ではない方法を説明した。
最初に、娘がレスポンスしたのが2♥だった。1の代に対して、2の代にジャンプするのはゲームまでパスをしないという取り決めだ。オープンが1♣であっても、ハートを言いたいときには2♥とジャンプする。スペースを余計に取ってしまうこともあるが、その修正は後々でも可能と考えている。まずはゲームフォーシングを身につけさせる意図だ。これに馴れることで、ジャンプしないハンドはそれほど強くない、ということも同時に表現できる。
上記のハンドを最初に2♥とジャンプしてしまうとどうなるか。
娘は「メジャーが4枚あったら、メジャーでジャンプするんだよね」と覚えていたようで、その時には、ビッドが次のようになる。
1♣ー2♥ー(2♠);3♣ー3♦;3♥
さて、このおとうさんの3♥は何枚?と聞くと「3枚」と答える。そう、セカンダリサポートだ。ここまではおとうさんもしょっちゅう口にしているため、覚えているらしい。しかし、フィットが8枚ではない4−3のハートで、その後どのようにビッドしたら良いかわからないとのこと。
実際にはこのビッドでも、4−3フィットの♥をトランプせずに、3NTと言えば済むことである。娘には♠にストッパーがあるからだ。実際にも、♥と♦が4−4の時には、同様のビッドシーケンスになるのだと思う。
しかし、今回の娘のハンドは、♥が4枚、♦が5枚なので、「ゲームフォーシングをかけるときは、長いスートを先にビッドしよう」と、娘のレスポンスを修正することにした。
そうした場合には、♦のあとに4枚の♥をビッドすることになり、♥のフィットがないことが、おとうさんにもすぐに理解できる。そのため、最適なビッド展開に向かうために、おとうさん側からもビッドの提案ができるわけだ。
娘の3♥の段階で、おとうさんには♥のフィットも、♦のフィットもないことがわかるので、狙うは3NTだ。そこで3♠とビッドする。これはウェスタン・キュービッドだ。わざわざ、相手の介入したスートをビッドしている。娘はこの段階で、「この3♠はパスしてはいけないんだよね」ということはわかっている。「♠のストッパーがないので、もしPdが持っているならばNTをビッドして欲しい」という意味だ。
なぜ、3♠が、♠のない意味になるか、というと、これは結局パートナー同士でどのように取り決めているかにすぎないわけだが、わかりやすい法則で言うと「NTをビッドできる人は、すみやかにビッドすること」かな。もし私が♠のストッパーを持っていれば、自分で3NTをビッドするとても良いチャンスなのだ。だから3NTをビッドする。しかしあえてビッドしないのは、「できないから」であるということだ。そして「もし私が、相手のスートである♠にストッパーがあるならば、私は3NTをビッドしています。しかし無いからビッド出来ないの。フィットもないし、もしPdに♠のストッパーがあれば、3NTと言って欲しい」という意味になる。
さて、娘はこのビッド展開を次回まで覚えているだろうか。
※イースタン・キュービッドは、ストッパーを持っていることを示すビッドを呼ぶようです。